Twitterの診断メーカーでのお題から
<灰原哀へのお題は「たまにはこんな戯言を」です。11時間以内に1RTされたら書きましょう> http://shindanmaker.com/160701
灰原さんにとっては通常運行なお題だけになかなかネタが降って来なくてorz
降って来たのはまさかの脳内プロット作品ベースの新哀@爆笑
目を覚ますと太陽はとっくに西の地平線へと姿を消していた。
「ヤベッ!もうこんな時間かよ!?」
新一は慌ててソファから身体を起すと枕元の携帯へ手を伸ばした。「……やっとお目覚め?」と返って来た声は明らかに不機嫌そのものである。
「悪ぃ、30分だけのつもりがすっかり寝込んじまったみたいで……」
「夕飯なら残してあるわよ。用意して待ってるから」
「あ……」
「何よ?」
「オメーは博士と済ませたんだろ?」
「ええ、とっくに」
「だったらこっちで食わせてくれよ。待ってる間に明日会う依頼人からのメールとか色々チェック出来るしな」
「……」
「灰原…?」
「本当、自分勝手な人ね」
ブチッと切れる通話に新一は肩をすくめるとテーブルの上に放置したままだった書類の束に手を伸ばした。
差出人:灰原哀
件名:画像参照
本文:どうするつもり?
そのメールが届いたのは新一が事件絡みで警視庁捜査一課を訪れていた時の事だった。
「な…!」
添付された画像を拡大した瞬間、新一は驚きのあまり声を上げそうになった。ゴシップ雑誌の記事だろうか?
『名探偵工藤新一 女子中学生と熱愛!自宅デート激写!』
大きな見出しが躍る横には新一とセーラー服姿の哀のツーショット写真が掲げられ、残りのスペースは細かい文字でびっしり埋め尽くされている。
「工藤君…?」
「高木警部すみません、今日はこれで失礼させてもらってもいいですか?」
「え?ええ、証拠固めの目途も付いたしこちらは構わないけど……何かあったの?」
「あ、ちょっとヤボ用が……」
不審そうな表情でこちらを見つめる美和子に誤魔化すような笑顔で小さく頭を下げると新一は捜査一課の部屋を飛び出した。
「あら、随分早かったのね」
息を切らせて阿笠邸へ辿り着いた新一を哀は思いがけずのんびりした口調で出迎えた。
「おい、灰原、この記事……」
「調べものしてて偶然拾ったの。どうやら明日発売予定の女性週刊誌みたい」
「……」
「やっぱり困るわよね?私は『女子中学生A子さん』で済むでしょうけどあなたはそうは行かないもの。商売が商売だけに信用問題にも関わるでしょうし……」
「せめて私服だったら良かったんだけど……」他人事のように呟く哀に新一は「灰原、オメー、探偵なめんなよ」と彼女を睨んだ。
「この記事、オメーが作った偽物なんじゃねーの?」
「あら、もうバレちゃった?」
「我ながらなかなかの出来だと思ってたんだけどね」悪びれもなく肩をすくめる哀に新一は「バーロー、この写真、角度からしてオレん家の防犯カメラの画像としか思えねーだろーが」と不機嫌そうな表情でリビングのソファに腰を下ろした。
「手の込んだ悪戯しやがって……一体何が言いたいんだよ?」
「あなたにもう少し危機感を持ってもらいたいと思って」
「危機感?」
「あなたの事だからそこまで深く考えてないんでしょうけど……博士の家に来て夕飯を摂る事と家に私を呼んで夕飯を摂る事は同じ行為のようで実は全然違うのよ?」
確かに成人男性が隣家を訪れる行為と隣家の女子中学生を自宅へ呼び寄せる行為では世間が受け取る印象は全く異なるだろう。 「それは……」
もっともな言い分にぐうの音も出ない新一に哀は「という事で今後夕飯は必ずこちらで摂るようにして頂戴」と満足そうな笑顔を浮かべると一人さっさとリビングを出て行ってしまった。
「……ったく」
「こっちはオメーの事を心配したっつーのに……」心の中で一人ごちると新一は哀が作った偽記事を手に苦笑した。
とりあえず工藤は夕飯を用意してもらるだけありがたいと思え。