「ただい……ウワッ!!」
「あら工藤君、ちょうどいい時に帰って来てくれたわ。荷物を地下へ運びたいんだけど手伝ってくれる?」
「あ、ああ……しっかしすっげー数の段ボールだな。一体何が入ってんだよ?」
「クッキーやチョコレートのサンプルよ。一昨日フサエさんから銀座の老舗専門店とコラボ商品を発売する事になったっていうメールが来てね」
「そういえばネットでも話題になってたような……」
「『日本を離れて久しい私より哀ちゃんや歩美ちゃんの方が日本の女の子の好みは分かるだろうし……どこのメーカーがいいか選んでくれない?』なんて頼まれたら断れないじゃない?」
「オメーとしてはメタボの博士に食わせる訳にいかねーしな。で?研究の間を縫って食べ比べか?」
「食べ比べ…?何寝ぼけた事言ってるの?このサンプル品そのものを調査するに決まってるでしょう?」
「は…?」
「あのフサエ・ブランドと組むんですもの。味がいいのは当たり前、問題は中身よ。カロリーは高過ぎないか、防腐剤
、膨張剤、着色料や甘味料といった食品添加物は使用されていないか、使用されている場合毒性はどのくらいか、食物アレルギーに引っ掛からないか、原材料の生産国はどこか……他にも挙げ出したらキリがないわ」
「……」
「さすがにこれだけの数を私一人で調べるのは大変だと思ってパッケージ関連のセレクトは歩美にお願いしたの。歩美って見かけだけじゃなく意外に実用性とかしっかりチェックする……工藤君?」
「……ん?あ……」
「どうかしたの?何だか顔が引きつっているような気がするんだけど」
「ん、んな事ねーよ……」
ホワイトデー、江戸川さんのハードルはエベレストよりも高くなりましたとさ。
せっかくチョコを渡しても「ありがとう」の一言もない旦那に腹を立てていたら降りて来た小ネタ、「覚さんやほたるさんの書かれる報われないコナンがとにかく可愛くて好き」と呟いて下さった緋月さんに捧げます♪