年が明けたと思ったらアッと言う間に今日は宮野の日って嘘だろー!
参加の意思はあってもツイッターで呟きましたが私は一人っ子、そうそう姉妹ネタが浮かんでくれるはずもなくorz
とはいえせっかくの10周年、何か出来ないかな―と思っていたら「XXX Holic 戻」からヒントを頂きました。
運命を廻した人
「工藤…君……?」
目を覚ますと心配そうな表情で自分を見つめるコナンの顔が飛び込んで来て哀は思わず目を瞬かせた。
「私…一体……」
「ったく、全然覚えてねーのか?『最近哀君が夜中にうなされておるようでのう』って博士があんまり心配してるから覗きに来たんだが……どうやら正解だったみてえだな」
そうだった、今夜阿笠は知り合いの博士と旅行に出掛けており今夜は自分一人。早目に眠ってしまおうと布団に入ったもののまた『あの夢』を見て……
「で?私の事を口実に不法侵入したって訳?」
内心の動揺を隠すように憎まれ口を叩く哀だったが、そんな彼女の心境を見透かすようにコナンは「………どーせまたオレが蘭の元へ戻らなかった事を後悔してる夢でも見たんだろ?」と呆れたように呟くとリクライニングチェアに横たわってしまう。
「本当、嫌な人ね。人が一番隠したい心の奥までこじ開けるなんて……」
「何度も言ってるだろ?オレの運命の人はオメーだって気付いたってよぉ」
「私だって信じたいわよ!でも……あんなに素敵な彼女を差し置いてどうしてあなたが私を選んだのか……どうしても分からなくなる時があって……」
段々と声の力を失い、うなだれる哀にコナンは「ま、オレも明美さんに運命を廻されなかったら何も疑わず蘭の元へ戻ったかもしれねーな」と苦笑すると彼女の身体を優しく引き寄せた。
「お姉ちゃんが……あなたの運命を廻した……?」
「考えてみろよ。いくら平和な日本だからって探偵を生業にしている人間はたくさんいる。そのたくさんの人間が営む事務所の中で明美さんは毛利のおっちゃんの事務所を選んだ。そして後日、世間話みたいにオレの事を話す明美さんにオメーは『江戸川コナン』が工藤新一だと確信した。オレの家を捜索して幼児化してる事は気付いてたみてえだが、その消息までは掴んでなかったはずだからな。これが全部偶然だったら怖いぜ?」
「私達の出会いを導いたのは……お姉ちゃん……?」
「人間は生きて行く過程でいくつもの選択を迫られる。蘭じゃなくてオメーを選んだ……オレは自分の選択に後悔してないぜ?もし蘭を選んでいたら間違いなくお互い不幸になってただろうからな。アイツといい幼馴染のままでいられたって意味でもオレはオメーの姉さんに感謝してるんだ」
「『この世に偶然はない、あるのは必然だけ』……『彼女』の口癖だったわね」
「彼女って誰だ?」
「さあ?知らない方が身のためかもね」
哀はクスッと笑うと「今から寝ても寝坊しちゃうだろうし珈琲でも飲んで目を覚ますわ」と独り言のように呟くとキッチンへ向かった。
昨夜は「ネタが浮かばない」って仰ってたのに一日でこんなに素敵なお話が書けちゃうなんて…羨ましいです(爆)